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県洋紙卸同業会と懇談会開催用紙価格値上げで対応を協議

2007年 8月 1日

製紙メーカー各社が7月1日から印刷用紙の一斉値上げを発表したことを受け、長野県印刷工業組合は7月23日、長野市のホテルメトロポリタン長野で長野県洋紙卸同業会(小山啓理事長、会員10社)に加盟する卸商8社の代表者と田中理事長他7名の組合役員が集まり、今後の対応を協議した。
稲垣経営革新・マーケティング委員長の司会で始まり、県印工組田中理事長、洋紙卸同業会小山理事長の挨拶の後、倉田副理事長は用紙価格値上げにかかわる7月7日付け信濃毎日新聞の記事掲載(別掲切り抜記事)について、「印刷業界は景気回復の実感に乏しく、引き続き厳しい経営環境に置かれている。この時期に、昨年に続く3度目となる値上げは、組合員企業の自助努力の範囲を超えており、これ以上は吸収できない。経営を圧迫する大きな問題として受け止めている。受注量の減少が続いている中、一律に価格転嫁をはかることは容易ではなく、組合として業界の現状を訴え一般ユーザーに理解を得るには新聞媒体の活用が有効であるとの判断から、洋紙卸同業会の協力を得て取材に応じた」と説明し、新聞報道に対するユーザーの反響も大きかったことを明らかにした。

洋紙卸同業会側から以下の説明がされた。
①値上げは突然でぎりぎりまで値上げ幅も示されず、今回の製紙メーカー各社の対応に違和感をもっている。以前は協力要請という形で通知がきたが、今回は要請ではなく一方的な「通告」であり、メーカー側の強い姿勢を感じる。10%強の引き上げは卸商が吸収できるレベルではないので、ご理解を頂きたい。
②値上げ要因として、原燃料価格の高騰、円安による原料チップの高値止まりに加え、中国での古紙需要急伸の影響が大きい。
③製紙メーカー、代理店の再編が進み、仕入れ先の選択肢が限られてしまい、交渉駆け引きが出来ない状況である。
④今回のような中途半端な時期での一方的な値上げは、年度契約を抱えているお客様に対しても大変迷惑をかけていると承知している。
⑤日本経済新聞に製紙メーカーの「意見広告」が掲載されたが、各地方紙にも知らせることも重要と考えるが、経費的に難しい。

以上の説明に対して組合役員から以下、意見・要望が出された。

①ここ数年価格値上げの話は何回かあったが、半年か1年も経たないうちに値下げ競争が繰り返されている。体力のある印刷企業は印刷価格の値上げをしないで拡販したり、あえて値下げをする乱暴な企業がいることは事実で、価格を荒らされた状況だけが残される。製紙メーカーの私利、都合(設備増強・更新に伴う販売合戦等々)で卸商、印刷企業が振り回されている感がある。
 洋紙卸商側・・今回の値上げ基調は最低でも10ヶ月はこの状態が続くと思う。円安で輸入紙が思うように入ってこない。又値上げ効果による純利益が、かなりの規模で増えるので、あえて値崩しをして増設マシンの紙を処理することは考えにくい。
②7月7日の新聞報道等を添えて営業が顧客をまわって理解を頂くよう努力しているところ。 これを契機に、ある程度同一歩調で行動出来ればよい方向に動くのではないかと考える。今回のような形で報道を続けることは価格転嫁を図る上で、理解を得る大きなチャンスと考え前向きに取り組むべき。
③紙の価格については非常に不透明さを感じる。大日本、凸版の大手は据え置きで、中小印刷業者だけを標的にするのは納得できない。
④紙の値上げについては得意先の広告代理店の発注担当者も何処まで信じたら良いのか迷っている。小ロット物は目立たないが、経営に影響してくる大ロットのレギュラーものは、分母が大きいので影響が大きい。県外の仕事も多いが、発注担当者はいろんなチャンネルをもっている。見積もりの段階で自社だけ値上げしてくれと言っても他が安ければ確実にそっちの方に仕事が流れる。値上げについてどうしても弱腰になってしまう。
⑤3月、4月に発注したものが今になって蔵出し扱いで納品されるのは契約違反ではないか。
 洋紙卸側・・一件毎の発注契約を交わして受け渡しをしていないのが実態。その辺の契約方法について改善の余地がある
⑥県内の用紙価格は県外にくらべてキロ10円高い。最近は2円~5円の格差に是正されてきているようだが、更なる流通コストの見直し等々、「長野価格」を是正して公平性を確保して欲しい。
⑦全印工連の用紙価格調査で東京価格との比較がされている。関東甲信越静の中でも一番高いのが長野県。流通コストの負担がかかる中国、四国に比べても高い。
⑧飯田支部では、地元の新聞社(南信州新聞、信州日報)を呼んで印刷業界の実情を新聞記事に取りあげてもらった。地域の洋紙卸商との連携で価格転嫁を進めたいと考える

この度の懇談会における総意として、以下申し述べます。
1.大手印刷企業の改定受け入れが無いままの7/1付け値上げは認められない。大日本印刷、凸版印刷等大手企業の動向を洋紙卸商側は早急に確認し情報開示をする。
2.官公需関係等年度契約ものについては、据え置きを要望。洋紙卸商側は製紙メーカー・代理店への働きかけを行い、善処する。
3.「長野価格」の善処を要望。洋紙卸商は同一歩調で製紙メーカー・代理店に粘り強く交渉して欲しい
4.日常の生活関連用品の値上げも浸透しており、価格転嫁は一般ユーザーにもある程度理解が得られる。洋紙卸商との連携により各地方紙に引き続き記事掲載等を行い、一般ユーザーへの理解、協力をお願いして行く。

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